夏の熱中症から犬を守る——ふくとあんと乗り越えた逗子の暑い日

去年の7月、逗子の朝9時にふくを連れて出たことがあります。いつもより少し遅いだけ、そう思っていました。15分歩いたあたりから、ふくの呼吸がおかしくなりました。ぜぇぜぇという感じで、歩みも遅くなって。急いで引き返して、帰宅後すぐに濡れタオルで体を冷やしました。

熱中症の一歩手前だったと、あとで獣医さんに言われました。あの経験から、夏の散歩と室内管理をかなり見直しました。

犬はなぜ熱中症になりやすいのか

人は汗をかいて体温を下げますが、犬はほとんど汗をかけません。犬の汗腺は肉球にしかなく、体温調節の主な手段は「パンティング」と呼ばれる口を開けてハァハァする呼吸です。

この呼吸で唾液を蒸発させることで、体の中の熱を逃がしています。ただ、この方法には限界があります。気温が高い・湿度が高い・風がないという条件が重なると、蒸発が追いつかず体温がどんどん上がっていきます。

体温が40℃を超えると臓器への負担が始まり、41℃を超えると命に関わります。外気温が28〜30℃でも、アスファルトの輻射熱がある環境では犬の体感温度はそれを大きく上回ります。

柴犬は被毛がダブルコートで断熱性が高い分、熱がこもりやすい面もあります。

散歩の「時間帯」と「アスファルト温度」

去年経験してから徹底しているのが、夏の散歩は「朝6時前」か「夕方18時以降」に限ること。それ以外の時間帯は、気温だけでなくアスファルトの温度が危険水準になります。

外気温が30℃のとき、アスファルトの表面温度は60℃前後になることがあります。犬の体高は人の膝ほど。地面に近いほど輻射熱を受けやすく、肉球への熱ダメージも起きます。

手の甲でアスファルトに5秒触れてみるのが手っ取り早い確認方法です。熱くて無理なら犬も無理、というのが目安です。

散歩に出る前には必ず水を飲ませて、途中でも飲めるよう携帯ボトルを持って出ています。

折りたたみ式のボウルがついているタイプが使いやすく、片手で給水できるので逗子の坂道でも楽です。あんは最初水を飲むのを嫌がっていましたが、今は自分からボウルに顔を突っ込みます。

室内の備え:冷感マットと水分補給

散歩から戻ったあと、ふくとあんが真っ先に向かうのが冷感マットです。リビングに敷いてある接触冷感タイプのマットで、乗るだけで体から熱を逃がしてくれます。

体を冷やすためにわざわざ保冷剤を用意しなくていいのが楽です。水洗いできるので、汚れても拭けばいい。去年の夏から使っていて、ふくは家に帰るとそこに直行しています。

室内では常に新鮮な水を置いておきます。夏は水が傷みやすいので、1日2回は換えるようにしています。エアコンをつけるときは、犬が直風に当たらない位置にするのと、冷えすぎない設定(26〜28℃目安)を意識しています。

「おかしい」と気づいたら:初期サインと緊急対処

熱中症の初期サインは以下のとおりです。

  • 呼吸が速い・荒い(パンティングが止まらない)
  • よだれが多い・ドロッとしている
  • ぐったりして動きたがらない
  • 目や口の粘膜が赤くなっている
  • 嘔吐・下痢

これらが見られたらすぐに涼しい場所に移し、体に水(ぬるま湯〜常温)をかけます。氷水や冷たい水を一気にかけるのは逆効果で、急激な血管収縮で体内の熱が逃げにくくなることがあります。

うちわや扇風機で風を当てながら、体温を少しずつ下げます。同時に動物病院に連絡して指示を仰ぐのが基本です。意識がはっきりしている状態で早期対処できれば、多くのケースで回復します。

水を自分で飲めるなら少量ずつ飲ませますが、意識がもうろうとしている場合は無理に飲ませず、すぐに病院へ。

短頭種と高齢犬は要注意

フレンチブルドッグ・パグ・ボストンテリアといった鼻の短い短頭種は、気道が狭いためパンティングの効率が低く、通常の犬より熱中症になりやすいと言われています。気温28℃でも油断できません。

高齢犬も、体温調節機能が落ちてくるため同様に注意が必要です。若いころと同じ距離・時間の散歩を続けていると、ある日突然しんどくなることがあります。

ふくは7歳になったので、去年より散歩の時間を少し短くしました。同じ距離でも「昨日より少し疲れてるかも」という感覚を持つようになりました。


熱中症は予防が9割です。時間帯を選ぶ、水を持って出る、帰宅後に体を冷やす。この3つを習慣にするだけで、夏のリスクは大きく下がります。

この記事を書いている人

久保里奈(くぼ りな・39歳)
神奈川県逗子市在住のフリーランスデザイナー。 柴犬「ふく(メス・6歳)」「あん(オス・2歳)」と暮らしています。 柴犬専門で10年、咬みつき癖や手作りごはんの試行錯誤の記録を綴っています。

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