柴犬のクレートはバリケンP200で足りる?9kgと8kgで考えるサイズ選び

クレートを選ぶとき、いちばん困るのが「Mサイズ」という表記があてにならないことです。

同じMサイズでも、メーカーによって内寸が10cm近く違うことがあります。外寸だけ大きくて壁が厚く、中は意外と狭いという商品もあります。ふくに合うサイズを探す久保家の物語を通して、柴犬の体格に合うクレートの選び方を整理します。この記事は、メーカー公表の寸法と一般的な考え方にもとづいています。

柴犬に必要な内寸の考え方

クレート選びで確認する項目は、どこでもほぼ同じ3つです。

  1. 中で立ったときに背中が天井に当たらない
  2. 中でくるっと一周向きを変えられる
  3. 伏せたときに体が壁からはみ出さない

そして意外なのが、この3つを満たす範囲でむしろ狭いほうが落ち着くと言われる点です。広すぎるクレートは「巣穴」ではなく「部屋」になってしまい、隅で排泄してしまうことがある、とされます。「かわいそうだから広めに」と思いがちですが、これは逆です。

物語の設定では、2頭の体格は次のとおりです。

体重 体高(床〜肩) 伏せたときの体長
ふく(赤柴・メス・6歳) 9kg 約38cm 約55cm
あん(黒柴・オス・2歳) 8kg 約36cm 約52cm

体長は「伏せて前足を投げ出した状態で、鼻先からお尻まで」を測ります。柴犬は座高より伏せたときの奥行きのほうが効いてくるので、ここを測っておくと失敗が減ります。

バリケンネルP200は9kg前後の柴犬の候補になる

災害時にそのまま運べるものが欲しい家庭の候補に挙がるのが、バリケンネルです。プラスチック製で上下に分割でき、ネジで固定するタイプとして知られています。

P200(インターメディエイト相当)は、9kg前後の柴犬が収まる目安のサイズとされています。確認したいのは次の3点です。

  • 立つ → 背中と天井の間に指2本ぶんくらい余裕があるか
  • 一周回る → 問題なく回れるか
  • 伏せる → 鼻先もお尻も壁に当たらないか

これより小さいP100系だと、伏せたときに体が余る可能性が高いと考えられます。

ただしデメリットもあります。重くてかさばることです。プラスチックの壁があるぶん、通気も布製より劣るので、夏は風の通る場所に置くなどの工夫が必要です。災害時の持ち出しを考えないなら、日常使いだけならもっと軽いもので十分かもしれません。海が近い地域で津波の避難を意識する、といった家庭ごとの事情で選ぶものです。

内寸表記のあるMサイズを選ぶ

2頭目のあんのような体格の犬には、上下分割式のプラスチッククレートのMサイズも候補になります。決め手になるのは、商品ページに内寸が書いてあることです。

たとえば内寸が幅35×奥行56×高さ49cmなら、あんの伏せ体長52cmに対して奥行56cmで、4cmの余裕があります。買う前に数字で確認できるのが利点です。

外寸しか書いていない商品は、壁の厚みぶんを引くと想像より狭いことがあります。内寸が書いていない商品は、それだけで候補から外していいと考えるのが安全です。

「Mサイズ」で失敗しやすい例

名前が「中型犬用Mサイズ」で、柴犬のイラストが商品画像に使われていると、安心して現物を見ずに注文してしまいがちです。

届いて組み立てて入れてみたら、伏せたときに鼻先が壁に当たる——内寸の奥行が48cmしかなく、伏せ体長55cmのふくには7cm足りない、というケースです。商品名の「中型犬用」も、画像の犬種も、サイズの根拠にはなりません。

そこで、「内寸の奥行 ≧ 伏せたときの体長 + 3cm」を目安に確認するのがおすすめです。

体重別の目安(犬種標準から)

柴犬の犬種標準は成犬メス7〜9kg・オス9〜11kgです。この範囲で、伏せ体長とクレート内寸の目安を整理するとこうなります。

体重の目安 伏せたときの体長 必要な内寸の奥行 該当しやすいサイズ
6〜7kg(小柄なメス・豆柴) 約48cm 51cm以上 Sサイズ〜P100上位
8〜9kg(標準的な柴犬) 約52〜55cm 55〜58cm以上 Mサイズ / バリケンP200
10〜11kg(大きめのオス) 約58cm 61cm以上 Lサイズ / P200上位〜P300

ふく9kg・伏せ55cm、あん8kg・伏せ52cmはちょうど真ん中の帯に入ります。柴犬の多くはこの「MサイズかバリケンP200か」の帯に集まるので、迷う人が多いのだと思います。

ただしこれはあくまで目安で、同じ体重でも胴の長さは個体で違います。表を出発点にして、必ず自分の犬を測ってください。

高さは見落としやすい

奥行きばかり気にしがちですが、あとから効いてくるのが高さです。

座高(床から頭のてっぺんまで、座った状態)が約45cmの犬なら、クレートの内寸高さが49cmあれば、座っても頭が天井につきません。ここが足りないと、犬は中で座れずに伏せ続けることになります。

長時間クレートに入れる場面——災害時の避難所や、動物病院での預かり——では、伏せしかできない状態は負担が大きいです。内寸の高さ ≧ 座高 + 3cmも一緒に確認しておくといいでしょう。

奥行だけでなく高さも足りないクレートだと、中で座ろうとして頭をぶつけ、それ以来その箱に入らなくなることがあります。一度こわい記憶がつくと、サイズを直しても入りたがらなくなる場合があるので、最初の選び方が大切です。

2頭いる場合、クレートは分ける

念のため書いておくと、2頭飼いの場合、クレートは完全に分けるのがおすすめです。

「1つの大きいクレートに2頭」は、おすすめしません。クレートは犬にとって「安心して他から邪魔されない場所」なので、そこを共有すると意味がなくなります。部屋の別々の角に1つずつ置くと、先住犬と新入りが互いに干渉しにくくなります。

子犬から使う場合

子犬を迎えるときは、成犬サイズを先に買って、仕切り板で狭くする方法があります。子犬のうちに広すぎるクレートを与えると、奥をトイレにしてしまうことがあるからです。

仕切り板が付属していない場合は、畳んだ毛布を奥に詰めて奥行きを短くする方法もあります。成長に合わせて毛布を減らしていけば、クレートを買い替えずに済みます。

クレートに慣らす手順そのものは別記事にまとめてあります。

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まとめ

  • クレートは「立てる・回れる・伏せて当たらない」の3条件を満たす範囲で、むしろ狭めのほうが落ち着く
  • 柴犬は座高より**伏せたときの体長(奥行)**が効く。ここを測る
  • 目安は「内寸の奥行 ≧ 伏せ体長 + 3cm」
  • 内寸が書いていない商品は候補から外す。商品名の「中型犬用」は根拠にならない
  • 9kg前後の柴犬ならバリケンP200クラス、8kg前後なら内寸奥行56cm程度のMサイズが目安
  • 災害時の持ち出しを考えないなら、重いプラスチック製である必要はない

クレートに入ることを極端に嫌がる、中で息が荒くなるといった様子がある場合は、サイズではなく体調や強い不安が原因のこともあります。私は獣医ではないので、気になる様子があるときはかかりつけの獣医師に相談してください。

この記事を書いている人

久保里奈(くぼ りな・39歳)
神奈川県逗子市在住のフリーランスデザイナー。 柴犬「ふく(メス・6歳)」「あん(オス・2歳)」と暮らしています。 柴犬専門で6年、咬みつき癖や手作りごはんの試行錯誤の記録を綴っています。

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