マルチーズの育て方完全ガイド|涙やけ対策と白毛ケアの基本
📓 取材ノート
「真っ白な被毛が自慢なのに、目の下が茶色く染まってきて…毎日ふくとの扱いの違いを実感しています」
——佐々木さん(マルチーズ「ミルク」3歳・メス)
ふく(柴犬・6歳)とあん(柴犬・2歳)を育てている私は、マルチーズを飼ったことがありません。この記事は、マルチーズオーナーへの取材と獣医監修書籍をもとにまとめた育て方ガイドです。専門家やかかりつけ医の判断に代わるものではないことをご了承ください。
マルチーズとはどんな犬か(柴犬との比較で理解する)
マルチーズは地中海の島・マルタ島を起源とする犬種で、2000年以上の歴史をもつ純白の愛玩犬です。古代フェニキア人が交易品として地中海沿岸各地に広めたとも言われ、ローマ時代には貴族の女性たちに愛されていたとする記録も残っています。体重は2〜3キロ前後、体高は約20〜25センチと小柄で、長くてシルクのような純白の被毛が最大の特徴です。その柔らかな毛質とつぶらな瞳、くるっとした丸顔は、見た人の心を即座に和ませます。
私が育てているふく(柴犬・6歳)やあん(柴犬・2歳)と比べると、マルチーズは非常に多くの点が対照的です。柴犬は二重毛構造(ダブルコート)で季節ごとに大量に換毛しますが、マルチーズはシングルコートで換毛がほとんどありません。その代わり、被毛が伸び続けるためこまめなトリミングが必要です。また、柴犬は野性味が残る独立心の高い気質を持ちますが、マルチーズは人との絆を強く求める甘えん坊タイプ。番犬的な独立性より、とにかく飼い主のそばにいたがる性格です。柴犬飼いの私から見ると「こんなに寄り添ってくるのか」と驚くほどの人好きぶりだと、取材した佐々木さんも笑って話してくれました。
マルチーズが抱えやすい健康課題(涙やけ・泌尿器系疾患・歯周病)
涙やけ(流涙症)
マルチーズを飼っているオーナーの多くが最初にぶつかるのが「涙やけ」の問題です。涙やけとは、目の周囲から流れ出た涙が被毛に染み込み、酸化によって茶褐色や赤茶色に変色した状態を指します。白い被毛のマルチーズでは特に目立ちやすく、放置するとただ見た目が悪くなるだけでなく、湿った状態が続くことで皮膚炎や細菌・酵母菌の二次感染を招く可能性があります。涙やけの原因としては、涙管の詰まり・結膜炎・食事アレルギー・目のまわりの毛が目に触れる刺激などが挙げられる傾向があります。佐々木さんのミルクも生後半年ごろから涙やけが目立ち始め、獣医師に相談したところ涙管洗浄と日々のケアを組み合わせることで改善の兆しが見えたとのことです。涙の量が多い・いつも目が赤い・目ヤニが多い場合はかかりつけ医へ相談することをおすすめします。
泌尿器系疾患
マルチーズを含む小型犬全般は、膀胱結石や尿路感染症を発症しやすい傾向があると言われています。特に結石の中でも「シュウ酸カルシウム結石」はマルチーズに比較的多いとする報告があります。尿が濁っている・頻尿が続く・排尿時に痛がるようなそぶりを見せる場合は、早めに動物病院を受診することが大切です。日常的に新鮮な水をいつでも飲めるよう管理し、適切な食事量と栄養バランスを維持することが予防の基本とされています。定期健診で尿検査を受けることも有効です。
歯周病
体の小さいマルチーズは、歯と歯の間隔が狭く、歯垢や歯石が溜まりやすい傾向があります。小型犬は歯周病になりやすいと言われており、マルチーズも例外ではありません。重度の歯周病は歯の脱落だけでなく、顎の骨への影響や細菌が血流を通じて心臓・腎臓に悪影響を与える可能性も指摘されています。毎日の歯磨きが最善の予防策で、犬用歯ブラシと犬用歯磨き粉を使って習慣化することが理想的です。難しい場合でもデンタルケアグッズや定期的な歯石除去を動物病院で行うなど、口腔ケアを怠らないようにしましょう。
ケアの日課(白毛のケア・毎日ブラッシング・顔まわりの定期カット)
マルチーズの被毛は美しい反面、毎日のケアを欠かすとすぐに絡まりや汚れが目立ちます。取材した佐々木さんは「最初はこんなに手がかかるとは思っていなかった」と話しつつも、今ではケアの時間がミルクとの大切なコミュニケーションになっているそうです。
ブラッシング(毎日・所要時間10〜15分)
Step 1: 被毛全体に少量のコンディショニングスプレーを軽く吹き付けてから行うと、摩擦が減り毛が切れにくくなります。
Step 2: ピンブラシを使って、毛先から根本に向けて少しずつほぐします。力任せに引っ張ると痛がり、ブラッシング嫌いになりやすいため注意が必要です。
Step 3: 耳の裏・わきの下・股の付け根・しっぽのつけ根など、絡まりやすい部位を重点的にブラッシングします。
Step 4: スリッカーブラシで全体をなでるように仕上げると、細かいもつれも取り除けます。
Step 5: ブラッシングが終わったらコームで最終確認。コームの歯が引っかからなければOKです。
目元・顔まわりのケア(毎日・所要時間3〜5分)
涙やけ対策の基本は「毎日の目元ふき」です。清潔なウェットティッシュや専用クリーナーを使い、目頭から目じりに向かって優しく拭き取ります。ゴシゴシ擦ると皮膚を傷めるため、押し当てて汚れを浮かせる感覚で行うのがコツです。取材中に佐々木さんが実演してくれましたが、ミルクはすでに慣れているようで、おとなしく目を拭かせていました。目のまわりの毛が長くなると涙の通り道になるため、こまめにカットするか、トリマーに依頼することも涙やけ対策として有効です。
トリミング(4〜6週間に1回)
マルチーズの被毛は伸び続けるため、定期的なトリミングが不可欠です。プロのトリマーに依頼するのが基本ですが、目まわりや肛門まわり、足裏の毛など衛生面に直結する部位は自宅でのカットにも慣れておくと安心です。トリミングの頻度は毛の伸び具合にもよりますが、おおむね4〜6週間に1回が目安とされています。
シャンプー(2〜3週間に1回)
白い被毛は汚れが目立ちやすく、皮脂や花粉・ホコリも吸着しやすいため、2〜3週間に1回のペースでシャンプーが必要です。被毛に優しい低刺激のペット用シャンプーを使い、すすぎ残しがないよう丁寧にすすぎます。乾燥が不十分だとカビや皮膚炎の原因になるため、ドライヤーで根本からしっかり乾かすことが大切です。
しつけのポイント(愛玩犬の甘えん坊・分離不安が出やすい・吠え少なめへの対処)
マルチーズは感受性が高く、飼い主への依存度が強い犬種です。そのため、1人でいる時間が長くなると分離不安を引き起こしやすい傾向があると言われています。分離不安が進むと、留守番中の過剰吠え・粗相・物の破壊といった問題行動につながる可能性があります。
佐々木さんによれば、ミルクは生後間もない頃から少しずつ「ひとりでいても大丈夫」を練習させたそうです。具体的には、飼い主が部屋を出る前に特別なおやつを与え「このおやつが出るときは落ち着いて待てばいい」という経験を積ませる方法が有効だったとのことです。いきなり長時間の留守番から始めるのではなく、最初は数分・次は10分・20分と徐々に時間を延ばしていく「段階的脱感作」のアプローチが推奨されています。
しつけの基本は正の強化(できたときにほめる・ごほうびを与える)です。マルチーズは怒られると萎縮しやすく、罰による叱責はトレーニングの逆効果になりやすいと言われています。「座れ」「待て」「おいで」といった基本コマンドは、短い時間でも毎日繰り返すことで定着しやすくなります。食いしん坊な面を活かして、小粒のトリーツをごほうびに使うと集中力が上がります。
また、マルチーズは比較的吠え声が少ない犬種ですが、環境の変化や見知らぬ人・音に敏感で吠えることがあります。幼犬期から多様な音・人・場所に慣れさせる社会化トレーニングが、過剰な警戒吠えの予防につながります。
迎える前に揃えておくもの
マルチーズを迎える前に、犬種特有のケアに対応したグッズを用意しておくと安心です。
- スリッカーブラシ・ピンブラシ・コーム(細歯) ── シングルコートの長毛を毎日手入れするための必需品。粗めと細かめを揃えると作業効率が上がります。
- 犬用涙やけクリーナー・専用ウェットティッシュ ── 白毛の涙やけ対策として毎日使います。刺激の少ないペット専用品を選びましょう。
- 犬用歯ブラシ・歯磨き粉 ── 歯周病予防のため子犬の頃から口元に触れる習慣をつけておくと後が楽です。
- 小型犬対応のキャリーバッグ・スリング ── 体の小さいマルチーズは移動時に抱っこすることが多く、安定感のあるキャリーが役立ちます。
- 室内用ゲートまたはサークル ── 分離不安の練習や安全な留守番スペースの確保に使えます。
- 滑り止めマット・フローリング対策 ── フローリングでの滑りは関節への負担につながるため、生活エリアに敷いておくと安心です。
- 低アレルゲン・小型犬向けフード ── 消化器系への負担が少ない小型犬専用フードを選び、食事アレルギーを起こしにくい原材料を確認しておきましょう。
よくある質問
Q. マルチーズの平均寿命はどれくらいですか?
マルチーズの平均寿命は12〜15年程度とされています。小型犬は中・大型犬と比べて長寿の傾向があり、適切なケアと定期健診を続けることでより長く健康に過ごせる可能性があります。高齢になるにつれて歯周病・白内障・関節疾患のリスクが高まるため、シニア期に差し掛かったらより細やかな観察と健診が大切です。
Q. マルチーズの主な健康課題は何ですか?
涙やけ(流涙症)、膀胱結石などの泌尿器系疾患、歯周病の3つが代表的な健康課題として挙げられます。涙やけは白毛に特に目立ちやすく、見た目だけでなく皮膚への二次感染のリスクもあります。いずれも早期発見・早期対応が大切なため、気になる症状が続く場合はかかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。
Q. マルチーズに向いている飼い主はどんな人ですか?
毎日のブラッシング・目元ケア・歯磨きなど、こまめなケアを負担と感じずむしろ楽しめる人に向いています。また、分離不安が出やすい犬種のため、長時間の留守番が少なく、一緒に過ごす時間をたっぷり確保できる生活スタイルの方が飼いやすいと言えるでしょう。はじめて小型犬を迎える方でも、丁寧なケアを習慣化できれば長期にわたって良い関係を築けます。
Q. マルチーズのケアで特に大切なことは何ですか?
涙やけ対策としての毎日の目元ふきと、毛玉・絡まり防止のための毎日のブラッシングが特に重要です。白い被毛は汚れが目立ちやすいため、2〜3週間に1回のシャンプーも欠かせません。加えて、定期的なトリミング・歯磨き・定期健診を組み合わせることで、健康を長く維持しやすくなります。佐々木さんは「ケアを丁寧にすると、ミルク自身がケアを楽しみにするようになった」と話していました。日々の積み重ねが信頼関係の土台になるのはマルチーズも柴犬も同じだと感じます。
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この記事を書いている人
久保里奈(くぼ りな・39歳)
神奈川県逗子市在住のフリーランスデザイナー。
柴犬「ふく(メス・6歳)」「あん(オス・2歳)」と暮らしています。
柴犬専門で10年、咬みつき癖や手作りごはんの試行錯誤の記録を綴っています。
タグ: #マルチーズ#育て方#涙やけ#白毛#ブラッシング#分離不安